未曾有の大雨をもたらした台風19号。
多くの川が氾濫し、流域に住む人に甚大な被害が発生しました。
利根川は数年に一度洪水になる、氾濫しやすい川です。
利根川に新たにできた、八ッ場ダムが今回の台風19号の被害から利根川流域の人を救ったと話題になっています。
どのように八ッ場ダムは活躍したのでしょうか?
八ッ場ダムはどう活躍した?
八ッ場ダムの奇跡。 pic.twitter.com/qLxKMrQKSd
— 崖っぷち上州 (@gakeppuche) 2019年10月12日
台風19号の水を貯め満水になった八ッ場ダム
台風19号の水を貯めている途中の八ッ場ダム
八ッ場ダム空っぽの時
反対側から見た空っぽの八ッ場ダム
八ッ場ダムは2019年10月12日の台風19号のもたらした大雨をたくさん蓄えてくれました。
八ッ場ダムの貯められる水量は1億750万㎥で、東京ドーム約87個分です。
八ッ場ダムの高さは116mあり、日本で49番目に高いダムとなっています。
おかげで利根川に一時に流れ込む水の量を抑えることができ、利根川流域の被害は最小化されたのです。
ダムがないと氾濫していたかもしれない川が、
ダムがあることで氾濫せずに済んだ可能性があるのです。
引用:http://www.ktr.mlit.go.jp
利根川流域の被害は最小化された
八ッ場ダムのおかげで氾濫からギリ守られた利根川のようす#台風19号 pic.twitter.com/8b4ZkHZrSv
— key (@key201908) 2019年10月12日
利根川氾濫したらやばいってこと。 pic.twitter.com/k05Btgks0T
— まさを (@GoodMasaWo) 2019年10月12日
これは利根川にかかる宇都宮線?
動くのでしょうか?
ここ通るのも怖すぎる
埼玉県久喜市ライブカメラ pic.twitter.com/HlEIJRnWn7— てん (@kh_elnea) 2019年10月12日
現在の利根川(刀水橋)付近 pic.twitter.com/a9FtchZBgb
— つぶ@Castrol86 (@RaptorZN6_86) 2019年10月12日
利根川は関東地方を北から東に流れる側で、よく水害が発生することで知られています。
高度の高い地域を流れているため、河川が決壊すると水が広い地域に流れ込み、被害が大きくなってしまいます。
利根川の氾濫をギリギリのところで食い止めた八ッ場ダムに助けられた人は多いと考えられます。
利根川の流域である千葉県野田市の芽吹橋(めふきばし)付近の水位は一時、氾濫危険水位を超えていました。
あと1mほど河川の水位が上昇すると氾濫する可能性が十分にあったと考えられる状況です。
もし、八ッ場ダムが水を貯められていなければ、決壊していたのかもしれません。
八ッ場ダムは完成前の試験中だった
八ッ場ダムは試験湛水中ですが、洪水も(維持流量以外)全部貯めます!!
台風19号の豪雨をどんどん貯め込む本日の八ッ場ダム。
竣工前から効果を発揮しちゃう八ッ場ダム△ pic.twitter.com/EzpydMURjV— 星野夕陽 (@choidamnet) 2019年10月12日
来春に運用が始まる予定の八ッ場ダム(長野原町)で、水をためて安全性を確認する試験湛水(たんすい)が始まってから10日がたった。国土交通省八ッ場ダム工事事務所によると、11日午前9時の時点でダム本体付近の水位は今月1日の試験湛水開始前に比べて38メートル上昇。JRの旧吾妻線の鉄橋や渓谷の一部が水没し始め、住民は沈みゆく古里を複雑な表情で眺めている。
引用:読売新聞(2019/10/12 05:00)
台風19号が日本列島を通りすぎていった2019年10月12日、八ッ場ダムはまだ完全に完成していませんでした。
まだ試験が残っていたのです。
試験のために、10月1日から長い期間をかけて満水位である583メートルまで水を貯めているところだったのです。
10月12日から13日にかけてやってきた台風19号は、大変な大雨をもたらしました。
八ッ場ダムは水を貯める試験中に台風19号の大雨を貯え、下流に住む人たちの命を救いました。
そんな素晴らしい働きをした八ッ場ダムですが、完成に至るには長い道のりがありました。
八ッ場ダム建設は大変な非難があった
民主党の事業仕分けで中止になりそうだった
八ッ場ダムがトレンド入りしてたから何かと思ったら、2009年の民主党事業仕分けでムダな事業として建設中止決定された八ッ場ダムが今回の台風19号で利根川氾濫を防いだという胸熱な話。勝手世界三大バカになると評価された新幹線が日本にはなくてはならない存在になっているのに通ずる。#八ッ場ダム pic.twitter.com/9x8h4RSYJP
— テック@ほぼFGO垢 (@tech_arai) 2019年10月12日
八ッ場ダムって試験湛水を開始したばっかりだけど、今回の台風で一気に満水まで行った?
結果的には八ッ場ダムって作って大正解だったんですよね?当時の民主党政権の人は今何を思うのだろう。。。 pic.twitter.com/vfpK1wbvCB
— しんや (@abebe_8668_ace) 2019年10月12日
1949年から計画が始まった八ッ場ダム建設。
2009年の民主党の事業仕分けでも予算を削減されるなど、なかなか完成にこぎつけられずにいたのです。
当時の1都5県の知事は民主党政権の事業仕分けに反対していた
八ッ場ダム建設事業に関する1都5県知事共同声明
昭和22年のカスリーン台風の記録的な豪雨によって、現在の関係都県の地域では、死者が1,100人にも及ぶ等の壊滅的な被害を被った。
その後、利根川における治水対策は鋭意進められてきたが、利根川の洪水に対する安全性は未だ十分なものではない。
現時点でカスリーン台風と同規模の洪水が発生した場合には利根川の至る所で堤防が決壊する可能性があり、国土交通省の試算によれば、カスリーン台風時と同様に埼玉県大利根町で利根川の堤防が決壊した場合の想定被害額は34兆円にも達する。
また、カスリーン台風ほどの大規模な洪水ではない近年の洪水においても、利根川の堤防や堤防下の地盤からの漏水が至る所で発生している。幸いにも水防団による懸命の水防活動により事なきを得ているが、これらの漏水はそのまま放置すれば堤防決壊につながる可能性がある非常に危険な現象である。
一方、利水に目を転じてみると、関係都県では、水需要に対し、完成しているダム等のみでは安定的に供給できないため、八ッ場ダムに参画することを条件に、毎秒10.93立方メートルの暫定水利権を既に取得し給水している。
暫定水利権は、河川に水が豊富なときにのみ取水が可能となる不安定な権利である。実際、首都圏の水需要の大部分を依存している利根川水系では、平成に入って以降において6回もの渇水に見舞われ、中でも平成8年には夏冬合わせて117日もの長期の取水制限が実施されている。仮にその時に八ッ場ダムが完成していたとすれば、取水制限日数を100日減少させることができる。
また、近年は年間の降雨量が減少傾向にあり、今後、地球規模の気候変動に伴う渇水リスクの高まりが指摘されていることを考慮すれば、八ッ場ダムの完成により供給能力を安定化させることが必要不可欠である。
このような利根川の治水・利水の現状を踏まえ、これまで、国は、八ッ場ダムを首都圏における治水・利水の安全性を確保する上で必要な施設として、関係都県の知事や議会の意見を聴いて、特定多目的ダム法に基づく手続きや、地元住民の意向を踏まえた協議を積み重ねながら、建設事業を進めてきた。
政権が交代しても、国土交通大臣が利根川の治水・利水の安全性の向上を図る責務を有する河川管理者であり、国がそれを実現するための施設である八ッ場ダムの事業主体であることに変わりはない。
このような責務を有する国土交通大臣が、今般、八ッ場ダムを中止する理由や関係都県の治水・利水の安全性の確保について何の代替案を提示することもなく、一方的に『建設中止』のみを表明したことは、あまりにも無責任な行為であり極めて遺憾である。
また、中止の表明以降、関係都県知事が再三説明を求めているにもかかわらず、今日まで国から何一つ具体的な説明がないというのは極めて異常な状態と言わざるを得ない。
さらに、八ッ場ダムに係る地元住民は、長きにわたる国の働きかけにより、下流都県のために苦渋の選択として八ッ場ダム建設を受け入れ、6年後に完成するダム湖を中心とした生活再建を切望しているにもかかわらず、国は、このような地元住民の意向を全く無視し、頭ごなしに中止を押し付けようとしている。このような姿勢は、新政権が掲げる「国民の生活が第一」という方針と全く矛盾している。
新政権が「国民の生活が第一」、「地域主権」を政策の根幹として掲げるのであれば、国は、地元や関係都県の考え方を尊重し、八ッ場ダム中止の方針はいったん白紙に戻した上で、国会の開会までに、中止しようとする理由を明確な根拠に基づいて説明するとともに、地元や関係都県の意見を十分に聴くよう強く要請する。
八ッ場ダムの治水・利水の必要性は、各地の住民訴訟判決において、司法の場でも認められており、政権が交代しても、八ッ場ダムが利根川の治水・利水上必要不可欠な施設であることに変わりはない。
ここに、1都5県知事は、一致団結し、八ッ場ダム建設事業の中止撤回を国に対し強く求めることを宣言する。
平成21年10月19日
東京都知事 石原慎太郎
埼玉県知事 上田清司
千葉県知事 森田健作
茨城県知事 橋本 昌
栃木県知事 福田富一
群馬県知事 大澤正明
2009年当時、民主党が進めていた事業仕分け。
限られた国家予算を本当に必要とするものに振り分けることを目的としていました。
八ッ場ダムは事業仕分けでその対象とされていました。
しかし、八ッ場ダムの下流、利根川の近くに住む人たちにとって、水害を防ぐ八ッ場ダムはどうしても必要なものだと強く主張していたのです。
住民の声が完成にこぎつけさせた八ッ場ダムが、完成直前にいきなり利根川の氾濫を防いだのです。
これには、八ッ場ダムの完成を心待ちにしていた人たちは喜んだに違いありません。
利根川の過去の主な洪水
洪水発生年 | 原因 |
---|---|
昭和22年9月 | カスリーン台風 |
昭和23年9月 | アイオン台風 |
昭和24年8月 | キティ台風 |
昭和25年8月 | 台風 |
昭和33年9月 | 台風第22号 |
昭和34年8月 | 台風第7号 |
昭和41年6月 | 台風第4号 |
昭和41年9月 | 台風第26号 |
昭和49年9月 | 台風第14号,16号,18号 |
昭和56年8月 | 台風第15号 |
昭和57年7月 | 台風第10号 |
昭和57年9月 | 台風第18号 |
平成10年9月 | 台風第5号 |
平成13年9月 | 台風第15号 |
平成14年7月 | 前線,台風第6号 |
平成16年10月 | 台風第23号 |
平成19年9月 | 台風第9号 |
数年に1回の頻度で利根川は洪水になっています。
利根川流域で暮らす人たちにとって、八ッ場ダムはどうしても必要なものだといえるでしょう。
八ッ場ダムに沈んだ町がある
八ッ場ダム大活躍で大絶賛だけど、ここに町が水没することを受諾した住民にも感謝を忘れないようにしたいね。 pic.twitter.com/Xx1OUhzeUY
— JSquare (@TransitOwner) 2019年10月13日
利根川流域に住む人たちを救った八ッ場ダムですが、ダムができることで、それまで建設地にあった町が水没してしまいます。
長い間住み続けてきた場所を出ていくのは、たとえ公共のためとは言え辛いものです。
多くの犠牲のもとに、多くの人の命が守られていることを忘れずにいたいです。
まとめ:八ッ場ダムの活躍の様子!
ダムは台風などがもたらす大雨を、一気に川に流さないようにせき止めておくものです。
一気に川に水が流れると、川が決壊し、流域の地域が水浸しになって水害となるおそれがあるからです。
しかし、ダムがいっぱいになったら放水せざるを得ません。その時には川に大量の水が流れるため、川が決壊する可能性があります。
ダムがいっぱいになるまでには時間がかかります。
ダムが作るその時間を使って、安全な場所に避難することができるのが、ダムの存在意義の一つです。
正しくダムを活用していきたいですね!
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